辛味はなぜほかの味覚と違うのか?
2019/10/22
塩味、酸味、苦味、甘味の5つの味は、「基本味」と呼ばれています。
しかし、味には辛い味もあります。
たとえば香辛料として用いられている唐辛子を食べれば辛い味を感じます。
ところが、辛味は基本味の中には含まれていません。
なぜ、辛味は基本味ではないのでしょうか。
それは、辛味は五つの基本味とは、味の感じ方が違うからです。
舌の表面には味覚を司る器官があります。
その器官の事を味蕾(みらい)と呼びます。
花の蕾に似た形をしている事から、そのように呼ばれているのです。
塩味や酸味などの刺激があると、味蕾の味細胞が受容し、その刺激は味覚細部によって中枢の脳の伝達されます。
そこで味覚が生じるのです。
塩味や酸味をはじめ、5つの基本味は、同様のメカニズムによって味を感じているのです。
しかし、辛味は違います。
辛味の刺激を中枢に伝えるのは味覚神経ではなく、触覚、痛覚、温度感覚などを伝える神経(三叉神経)なのです。
生理学的には、味覚神経によって伝達される味覚が「味」とされています。
だから、味覚は生理学的には「味」ではなく、基本味には含まれていないのでした。