平成3年(1991年)の出来事
2019/10/22
1991年は“統合と分断”が同時進行する激動の1年であった。イラク空爆で始まった湾岸戦争は国連統合に成功した多国籍軍が勝ち、東西欧州の軍事機構解体は新しい「超国家連合」への歴史的実験を促した。この流れはアジアにも及び、南北朝鮮の和解などに確実に現れた。クーデター失敗に続く旧ソ連の変革は、ついに超大国ソ連邦を消滅させ、ユーゴなどとともに“分断”の相克が続いた。こうした中で、湾岸戦争は、巨額な戦費負担や貢献策をめぐって“戦争と平和論”に広がり内外に波紋を描いた。一方、戦後最長の好況を続けた日本経済は、証券・金融不祥事が続出して後退、バブル経済が弾け、雲仙大火砕流や信楽高原鉄道事故は暗い思いを残した。しかし、大相撲の“若・貴”人気などは希望と期待を与えた。(1991.12.30中日新聞朝刊より)
目次
平成3年(1991年)といえば
- 東京23区の市外局番がまでの東京03から4桁になる。(1/1)
- トレンディドラマ全盛期。
- 東京ラブストーリーが放送開始される(1/7)
- 皇太子徳仁親王の「立太子の礼」が31歳の誕生日に皇居で行われる。(2/23)
- 丸の内から新宿副都心へ東京都庁舎が移る。
- お立ち台ディスコジュリアナ東京オープン。
- 東北新幹線の上野駅〜東京駅間が開業。
- 科学者の飯島澄男によって「カーボンナノチューブ」発見される。
- 「ウォーリーをさがせ!」ブームが起こる。
- マツダ・787B、日本車としてはじめてル・マン24時間レース総合優勝。
バブル経済がはじけ、証券・金融不祥事が続発する
絵画取引やゴルフ場開発など不正で巨額な投融資事件が次々に明るみに出る中、証券業界ぐるみの巨額損失補てんや大手金融機関の架空不正融資事件が発覚、国会の証人喚問やトップ辞任、女性料亭経営者と海外逃亡幹部らの逮捕、銀行員の誘拐などが続き、みせかけの金満経済は“泡”のように崩れた。
平成3年(1991年)の出来事・ニュース
- 広島市の新交通システム工事現場で鋼鉄製橋げたが落下して車21台を直撃、14人が死亡、9人が重軽傷。(3/14)
- 滋賀県信楽町の信楽高原鉄道で普通列車と乗り入れのJR西日本・快速列車が衝突、世界陶芸祭の乗客ら42人が死亡、400人が重軽傷。(5/14)
雲仙普賢岳の噴火、火砕流に発生(6/3)
長崎県の雲仙・普賢岳で大規模な火砕流が発生、集落を焼き、消防・報道関係者ら37人が死亡、4人が行方不明。8日再び大火砕流発生、島原市の住民が避難。
- 悪魔の詩を翻訳した五十嵐一・筑波大学教授が暗殺される。(7/12)
- 大阪地検が中堅商社イトマンの河村良彦前社長、伊藤寿永光・前常務、許永中・不動産管理会社代表ら6人を自社株取得、特別背任容疑で逮捕。(7/23)
平成3年(1991年)の政治・経済のニュース
- ゴルバチョフ・ソ連大統領がソ連の元首としては初めて来日。17日国会で演説。18日首脳会談で「北方4島対象で平和条約交渉」で合意。(4/16)
- 安倍晋太郎自民党元幹事長が死去、67歳。(5/15)
- ソ連ロシア共和国大統領にエリツィンが就任。(7/10)
- 政府が、自衛隊を国連の平和維持活動 (PKO)に参加させるためのPKO協力法案を国会に提出。12月3日衆議院本会議で可決。(9/19)
- 自民党総裁選で宮沢喜一衆院議員が渡辺美智雄、三塚博両衆院議員を破って当選。(10/27)
- 海部内閣総辞職。宮沢喜一内閣が発足。(11/5)
- 高知県知事選で橋本大二郎・元NHK記者が当選。初めての戦後生まれの知事(12/1)
- 韓国の元従軍慰安婦や軍属ら35人が日本政府を相手取り東京地裁に1人2000万円補償の訴え。(12/6)
平成3年(1991年)の世界のニュース
湾岸戦争が勃発。(1/17)
米軍を主体にペルシャ湾岸地域に展開する多国籍軍がイラク軍に攻撃開始。「砂漠の嵐作戦」と命名。湾岸戦争始まる。海部俊樹首相が「確固たる支持」を表明。
湾岸戦争が終了(2/24)
多国籍軍がイラク、クウェートに進攻。27日ブッシュ米大統領がクウェート解放の完了を確認して勝利宣言。
- ゴルバチョフ大統領がソ連国家元首として初めて来日。海部首相と会談。(4/16)
- 第17回主要先進国首脳会議(サミット)がロンドンで開幕。(7/15)
- 米ソが戦略兵器削減条約(START)調印。弾頭数削減へ。(7/31)
- ソ連軍がリトアニア共和国の独立運動を武力で鎮圧。(血の日曜日事件)(8/20)
- ラトビア・リトアニア・エストニア再独立。(8月)
ソビエトクーデター(8/19~21)
19日からゴルバチョフ大統領を軟禁していた非常事態国家委員会が解散、保守派によるクーデターは失敗。24日ゴルバチョフ大統領がソ連共産党書記長を辞任、共産党解散を提唱。74年間の共産党支配に幕。
- ドイツ、ベルリンへの首都移転決定
- ユーゴスラビア紛争が始まる。
- ミャンマーのアウンサンスーチーにノーベル平和賞。
- フィリピンのピナツボ火山大噴火
- ガンジー・インド元首相暗殺
南ア、アパルトヘイト撤廃
議会でアパルトヘイト廃止に関する諸法案を発表するデクラーク南アフリカ大統領。同国は6月にアパルトヘイト(人種隔離)政策の終結を宣言する=2月、南アフリカ・ケープタウン【AFP=時事】
- 平壌放送が、金正日書記が朝鮮人民軍最高司令官に決定と放送。(12/14)
ソビエト崩壊(12/25)
ゴルバチョフ・ソ連大統領が辞任。26日ソ連最高会議共和国会議が最終審議を行い、ソ連消滅を宣言。30日旧ソ連の11共和国が「独立国家共同体(CIS)」としての活動を開始。(12/25)
平成3年(1991年)のスポーツニュース
- 横綱千代の富士貢が引退。
- 若貴・外人力士の活躍などで大相撲ブーム
- 東京で第3回世界陸上競技選手権大会が開催される。
平成3年(1991年)の芸能ニュース
- 女優宮沢りえのヘアヌード写真集が記録的な売り上げを達成。
- SMAPがCDデビュー
平成3年(1991年)の流行語
- 潔シンドローム (生活環境、自分の身体に関する異常な清潔感覚)
- バツイチ (離婚経験者)
- ヘアヌード(陰毛が写っているヌード写真のこと)
- じゃあ~りませんか (チャリー浜のギャグがサントリーのCMで使われ有名になった)
平成3年(1991年)の流行ファッション
- 紺のブレザーが流行し、中高年にも普及する。
- 茶髪が流行する
平成3年(1991年)の流行商品・テクノロジー
- 企業などでISDNの整備が進む
- マイクロソフト「MSウインドウズ3.0」発売
- パソコン関係の雑誌が急増する
- NTT「ムーバ」発売
- WOWOW本放送開始
- ワイド画面テレビ発売
平成3年(1991年)の歌謡ヒット曲
- 「Oh!Yeah!/ラブ・ストーリーは突然に」小田和正 254.1万
- 「SAY YES」CHAGE&ASKA 250.4万
- 「愛は勝つ」KAN 186.3万
- 「どんなときも。」槇原敬之 116.4万
- 「はじまりはいつも雨」ASKA 107万
- 「あなたに会えてよかった」小泉今日子 100.6万
- 「LADY NAVIGATION」B’z 100.4万
- 「しゃぼん玉」長渕剛 75.8万
- 「Eyes to me/彼は友達」DREAMS COME TRUE 68.6万
- 「ALONE」B’z 68.5万
平成3年(1991年)に亡くなった人
- 井上靖 83歳 (小説家)(1/11)
- 本田宗一郎 84歳 (本田技研工業創業者)(8/5)
- 春日八郎 67歳 (歌手)(10/22)
- 相田みつを 67歳 (詩人)(12/17)