セミの鳴き声はなぜ大きいのか?

ニイニイゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシなどのセミは、それぞれに独特の鳴き方をします。
どの鳴き声も大きく、ときにはうるさく感じられることもあります。
セミの体はたいして大きくないのに、そのわりには鳴き声が大きいとは思いませんか?
セミはどうやってあんなに大きな声を作り出しているのでしょうか。
鳴くのはオスのセミだけです。
オスを捕まえて、裏返して胸の部分を表にすると、後ろ足の付け根のところに、二枚の薄くて硬い皮が並んでいるのが見えます。
これを腹弁(ふくべん)といいます。
その腹弁の内側の腹の中で、鳴き声が作り出されているのです。
腹の中に発音筋(鳴筋)という筋肉があり、発音膜(発振膜)につながっており、発音筋を伸び縮みさせることで発音膜が伸び縮みし、音(鳴き声)を発生させているのです。
だが、それだけではあんなに大きな鳴き声にはなりません。
オスの腹部は大部分が空洞になっています。
がらんとした部屋で声を出すと、反響して大きな声が聞こえます。
セミの場合、腹部の空洞が音を大きくする共鳴室として働いているのです。
発音筋と発音膜によって作り出された音が共鳴室で拡大されるので、大きな音になるわけです。